高齢出産でリスクが高まる病気とは?治療法と対策を知ろう
高齢出産にはリスクが伴うといわれますが、35歳以上での妊娠・出産の場合、まず妊娠すること自体が難しくなります。
仕事がひと段落して「そろそろ子供が欲しい」と思っても、なかなか妊娠できないというケースも多いのです。
年齢が上がるにつれ、身体が衰えるのと一緒に年々卵子も老化していきます。卵子が老化すると、妊娠力が落ちていきますので授精しににくなってくるのです。
ですので、なかなか妊娠できずに、結果的に高齢出産となってしまったという可能性も出てくるかもしれません。
このように高齢であるが故に「不妊症」の治療が必要であったり、高齢妊娠で起こりやすい病気やそのための治療が発生する可能性もあります。
そこで今回は、
・高齢出産で治療が必要になるのはどんな時?
・高齢出産でリスクが高まる病気とは?
といった方に、高齢出産でリスクが高まる病気とその治療についてご紹介します。
どのような病気を引き起こす可能性が高く、その場合どのような治療を行うのかを知って、病気を引き起こさないように対策しましょう。
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この記事の目次
1、不妊症
不妊症とは、身体的に健康な夫婦やカップルが、妊娠を希望してから一年間、避妊をせずに性交渉を行っていても妊娠が認められない場合のことをいいます。
不妊症と診断され、その治療を行うことを不妊治療といいます。
不妊治療はどんなことをするの?
不妊治療は、まず基本検査から始まります。この検査で異常が見つからない場合には、排卵と射精のタイミングを合わせて授精の確率を高める「タイミング療法」を行います。
半年ほどを目安にして結果が出ないときには次の治療へ移ります。次に試してみるのは、卵巣を刺激し卵胞を成熟させる方法です。こうすることで排卵を誘発するのです。
タイミング療法や排卵誘発での効果が見られない場合には、医療処置として精子を子宮に入れる「人工授精」を行います。
人工授精でも妊娠が認められないときは、卵子に精子をふりかける「体外受精」を試み、それでも妊娠しない場合には卵子の中に精子を注入する「顕微授精」へと、より高度な手法を試していきます。
参考記事
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>>高齢出産に向けた不妊治療と不妊治療専門クリニックの選び方
ステップアップ治療
このように、第一ステップとなるタイミング療法から開始して、結果が出ない場合には次のステップを試す・・・という、手段や方法を変えて治療を行なっていくことを「ステップアップ治療」と呼びます。
ステップアップ治療は、それぞれのステップを数回ずつ試して、その効果を判断しながら次の治療方法を試していくので、それぞれのステップを平均的に試している間に、時間がどんどん過ぎてしまいます。
どのくらいで次のステップに進むかは担当医の考え方や判断、またはご夫婦・カップルの希望などでも異なってきますが、ステップが上がるほどに心身だけでなく、経済的な負担も増えていくので、年齢のことで妊娠を急いでいる場合には最小限の負担で済むよう、どのステップから試みるかは、担当医とよく相談していくことをすすめます。
一般的には5〜6周期でステップアップして、2年以内には結果を出すことが理想的な治療期間とされています。
体外受精や顕微授精が行われるようになるなど、新たな治療方法によってどこに原因があるのかは以前よりも分かるようになってきました。
たとえば、体外受精を行う際、卵子に精子をふりかけると受精障害がわかりますし、妊娠力のある卵子かどうかもわかります。
現在の不妊症は、原因がはっきりとわからない場合でも、その障害がクリアできるようになってきました。
しかし、その治療のためには費用もかかりますし、精神的にも身体的にも負担はかかります。時間が許すのであれば、まずはタイミング療法から始めて自然妊娠できるのが、一番負担が少ない方法です。
不妊症の原因は、その多くが何かとははっきりとせず、女性側の問題が注目されやすいですが、実は男性の精子に問題があるということもあります。
関連記事>>高齢出産、男性の理解と協力の重要性!男性側の問題を知ろう
年齢のために妊娠しにくいだけかもしれませんし、普段の食生活が関係している可能性もあるので、生活習慣を見直すなど、根本的に妊娠しやすい環境を整えていくことが必要です。
2、妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、以前は妊娠中毒と呼ばれていました。妊娠中に高血圧になったり、尿にタンパク質が出たり、全身にむくみが出たりする病気です。
この病気を発症すると、お産時に帝王切開になるなど、難産になるリスクが高まります。母子ともに危険を伴う病気のため、注意しなくてはいけません。
妊娠高血圧症候群は年齢が上がるについて発症しやすい
妊娠高血圧症候群は、妊娠中期〜後期の頃に症状があらわれやすく、妊娠初期の胎盤が作られる時期に、体が妊娠したことに適応できないことでが原因となります。
病気の発生頻度は妊婦さんの約10%なのですが、34歳以下の発生率が11%程度なのに対して、35歳以上になると14〜18%、45歳以降では29%の方に発生するといわれています。
これは、年齢が上がるにつれて卵巣の機能や血管の弾力性が弱まることで引き起こりやすくなるのです。
妊娠高血圧症候群はどんな治療をするの?
妊娠高血圧症候群といわれた場合、治療方法としては「妊娠の中断か終結」しかありません。
この病気そのものに対する治療方法はなく、入院して安静にするか、食事療法や血圧を下げるために薬物投与を行うかの対処療法のみとなり、それ自体は根本的な治療にはならないのです。
妊娠の中断・終結ということは、赤ちゃんをお腹から取り出すことになります。
ただし、妊娠34週以下ではお腹の中の赤ちゃんはまだ成長していないため、すぐに取り出すことはできませんし、母子ともに命に関わる危険性があります。
その場合には、対処療法で症状を抑えながら、赤ちゃんを取り出すことができるようになるまで妊娠を継続させます。
妊婦さんの健康を優先させながら、分娩のタイミングを見極めていくことになります。妊娠高血圧症候群は、基本的に妊娠中断が解決方法なので、分娩管理が主な治療内容となるのです。
また、症状が軽い場合にも対処療法で妊娠を継続させることはありますが、安静第一とした上で食事療法を行います。
高血圧が原因なので、まずは塩分の摂取量を制限します。タンパク質量や摂取カロリーも厳しく制限され、血圧を抑えるため薬の服用も合わせて行います。
これらの対処療法によって症状が落ち着くようであれば、通常分娩期である38〜40週まで妊娠を継続させることになります。
症状によって対処が異なってきますが、軽症の場合でも妊婦さんか赤ちゃんが危険になると医師が判断したときには、強制的に分娩を誘発させるか、帝王切開でのお産が行われます。
いずれにしても、母子の命に関わる可能性が大きくリスクが高い病気なので、高齢出産の場合には特に注意が必要となります。
3、妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠したことで発生する糖代謝が異常になる病気です。
妊娠前から糖尿病を発症していた場合には「糖尿病合併妊娠」と呼ばれますが、多くの場合妊娠が原因で発生する糖代謝異常なので、通常の糖尿病よりも症状は軽く、産後は元通りになる方が多いです。
しかし、妊娠中に妊娠糖尿病になった方は、通常の糖尿病も発症しやすくなるので気をつけなければいけません。
妊娠糖尿病の発症率自体は約12%とそれほど高くはありませんが、高齢出産の場合には発症しやすいとされています。
妊娠中の糖尿病について詳しくは、高齢出産だけじゃない!妊娠中の糖尿病に要注意!原因と対処法の記事にてご説明しています。
妊娠高血圧症候群の合併症として発症することもありますので、一つの病気にかかった場合には、合併症に気をつける必要があります。
妊娠糖尿病はどんな治療をするの?
妊娠糖尿病では、糖尿病と同じく血糖値を管理することが重要になります。妊娠糖尿病と診断されたら、まずは「食事療法」と「運動療法」から取り組みます。
特に食後の血糖値を上げないよう、糖質の摂取を管理しますので、食事内容の他にも食べる順番やタイミングなどにも気を使わなければいけません。
その上で、代謝を上げるために運動を無理のない範囲で行い、血糖値が上がらないように注意します。
食事療法や運動療法で様子を見て改善の兆しがないようであれば、インスリンを投与し血糖値を人為的にコントロールすることになります。
通常は通院して治療を行い経過を見ますが、症状が重い場合には、短いときには数日、長くても1週間程度入院して、健康管理を行うケースもあります。
妊娠糖尿病は妊娠中の生活習慣によって予防することができますので、日頃から食事内容に気をつけ、できるだけ体を動かすようにするなどの対策をとるようにしましょう。
4、腎疾患
腎臓に起こる疾患なので、腎臓病のことです。腎臓病は初期症状がほとんどあらわれないため、疾患があったとしても自覚症状がないという場合もあります。
腎臓病になる通常のケースは、ストレスやそれに伴う不規則な生活、ジャンクフードや外食が多いなどの、食生活の乱れが原因となる腎臓への負荷によって引き起こされます。
妊婦さんの場合、妊娠すると腎臓に流れ込む血液量が増えるため、普段よりも負担がかかることになります。
赤ちゃんは日々成長していきますので、循環する血液の量や、それを心臓へ送り出す多くの血液を処理しなくてはいけませんので、腎臓自体が1cmほど大きくなるのです。
また、妊娠高血圧症候群を妊娠32週未満で発症した場合には、病気が重症化しやすくなるといわれていますが、重症化すると肝臓や腎臓の機能障害を引き起こすことがあります。腎疾患は、妊娠高血圧症候群の合併症として併発しやすいのです。
腎疾患を併発したら、どんな治療が必要?
腎疾患を患った場合には、安静にすること、そして入院も必要になります。早期治療が重要になりますので、むくみが取れないなど違和感があるときは医師に早めに相談しましょう。
妊娠中に、妊娠高血圧症候群と併発している場合には、食事療法などの対処療法を行うことになりますが、まずは併発しないように気をつけることが何よりも重要です。
腎臓機能は、一度低下すると二度と回復しません。悪化して腎不全になれば、血液透析や腹膜透析を受け続けなければいけなくなります。
そうなると根本的な治療としては腎移植しかなくなってしまします。
自覚症状がなく、他の病気を併発している場合は特に気がつきにくいですが、妊婦さんの今後の健康に関わる病気なので、まずは引き起こさないように普段の生活を見直したり、ストレスを溜めないようにして予防することが大切です。
5、子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮内にできる腫瘍のことです。腫瘍とはいっても悪性ではなく良性の腫瘍で、妊娠中の2〜3%の女性は、子宮筋腫があるといわれています。
妊娠していない女性でも婦人疾患の一つとして、コブやしこりなどのかたまりのような状態で発生し、それが大きくなることでさまざまな症状を引き起こすことがあります。
子宮筋腫は腫瘍の一種ですがガンではありませんので、命に関わることはありません。しかし、放置しておくと発育状況によっては10kg以上の大きさになることもあり、子宮筋腫が原因で弊害になるケースは多々あります。
年代に関係なく発生する可能性はありますが、30代後半〜40代前半の方にできやすいとされていて、発生率は35歳以上の女性のうち約20%にもなります。
年齢が上がるにつれて筋腫ができやすくなり、また子宮筋腫は不妊症の原因となるケースがあるため、良性疾患といえ見逃せません。
子宮筋腫が治療した方がいいの?
子宮筋腫は悪性の病気ではないので、治療をしない場合もあります。治療方法も筋腫によって引き起こされている症状とその大きさ、子宮内のどの位置にできているかによって変わってきます。
しかし、筋腫ができると子宮内におうとつができため、受精卵が着床する面が不安定になってしまい、妊娠が成立しにくくなります。
妊娠できないというわけではありませんが、筋腫が原因で不妊となっている可能性が出てくるため、年齢によっては手術を行うケースも出てきます。
手術する場合には、子宮を取ってしまう「全摘術」と筋腫だけを切除する「筋腫核出術」があります。
不妊治療としては筋腫核出術となりますが、手術では多量の出血があるため、体に負担がかかり危険も伴います。
また、筋腫は同時に複数発生していることが多く、小さな筋腫は取り残すことも多々あります。取り残しがあった場合には、その筋腫が発育して再度手術が必要になるということもあるので、女性にとっては厄介な問題です。
手術以外では服薬治療もありますが、この治療は「偽閉経療法」といって、閉経状態にしてしまう治療ですので、妊娠を望む場合には適していません。
妊活中から意識することが大切
高齢出産では、妊娠するまでにも不妊という壁があり、妊娠してからも高齢であるが故に引き起こしやすい病気があります。
ここに紹介した以外にも、甲状腺疾患などの内科合併症や卵巣腫瘍などの婦人科合併症は他にも多くあります。
しかし、妊活中のうちから規則正しい食生活やストレスを程よく発散するなど、暮らし方を少し気にかけていることで予防できることも多くあります。
若い人に比べて意識しないといけないことは多いですが、高齢だからこそ気をつけていることが、妊婦さん自身の健康と育児のための体力作りや、赤ちゃんの健康に繋がっています。
参考記事>>高齢出産のママが健康な赤ちゃんを産むために気を付けること
持病のある人の方が、健常な人より健康だったりするのと同じように、きっと元気な赤ちゃんが生まれてきます。大変なことも多いですが、妊活中から少しずつ生活を見直して対策していきましょう。
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