高齢出産に向けた不妊治療と不妊治療専門クリニックの選び方
女性の社会進出に伴い、結婚後も働き続ける女性の増加や、仕事のための晩婚化が増えてきました。それとともに出産の高齢化も進み、現代社会では、35歳以上の妊娠・出産も珍しくありません。
高齢出産はリスクが高いといわれてきましたが、最近では、経産婦でも初産婦に比べて母体の健康に対するリスクは低いものの、生まれてくる子供の染色体異常などの健康に関するリスクと同様に、初産婦・経産婦を区別せず、年齢に注目して分類する見方が強まっています。
しかし、出産するにはまず妊娠していなければなりません。そして現代では、出産のリスクよりも、むしろ妊娠できないことでの悩みの方が大きいのです。
これは年齢とともに妊娠しにくくなる、つまり「不妊」といわれる状態になるからです。
そこで今回は、
・不妊症ってどういうこと?
・不妊治療はどういう治療をするの?
・どうやって不妊治療の病院を選べばいいの?
といった方に、高齢出産に向けた不妊治療についてと、クリニックの選び方について詳しくご紹介します。これから出産を目指す方の、高齢出産に向けた妊活にお役立てください。
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この記事の目次
不妊症とは
まず、不妊症というのは「結果として妊娠しない状態」のことであって、身体の状態を定義しているものではありません。
また、健全な夫婦生活(性生活)を行っているといっても、その頻度についても目安でしかありません。妊娠しない期間については1年から3年との諸説があり、「不妊症」というと、いかにも病気のような印象を受けますが、実はとてもあいまいなものなのです。
結婚後、健康な男女が避妊をすることなく夫婦生活を送っていれば、ほとんどが2年以内に妊娠するといわれています。
日本産科婦人科学会では、不妊症は次のように表現されています。
「ある一定期間、性生活を行っているにもかかわらず、避妊しないで2年以上妊娠に成立をみない場合を不妊という。その一定期間については1年から3年までの諸説があるが、2年というのが一般的である。」
ですから2年以上にわたって妊娠しない場合、不妊症が疑われます。ただし、この2年とされるのは20歳~30代半ばの妊娠適齢期の女性の場合です。
30代後半からは卵子の質の低下の問題もあるため、1年でも病院に行ってみてもらう方が良いです。もし不妊原因が見つかれば治療を、何も見つからなければ夫婦と医師とが相談をしながら妊娠しやすい方法でチャレンジをすることが大切となります。
なぜ高齢になると、不妊になりやすいのか?
健康な男女が排卵日に性行為をして妊娠する確率は、35歳未満なら20~25%、35~40歳では10~15%とされています。さらに年齢を重ね、40歳後半になるとその確率は4%にまで下がってしまいます。
高齢になると妊娠しにくくなる原因はさまざまです。まず、その1つとして性生活の減少があげられます。既婚者であれば「結婚当初は性生活の機会も多かったが、年月が経つとともに回数が減った」という人も少なくありません。
また妻も夫も社会に出て働いているため、帰宅後は性生活の時間を取るより睡眠時間を優先するという現状があります。そもそも現代の日本では、夫婦間のセックスの回数が減ってきているのです。
2つ目に、高齢になると、卵子が老化するほか、婦人病や子宮筋腫などの生活習慣病が急増するためです。
また、30代後半になっても出産経験がない場合には身体が「妊娠しない」という信号を受け、それにより卵巣が小さくなり妊娠し難くなる、という説もあります。
子どもを宿し、出産をするのは女性です。そのため、不妊の原因も女性側にあるとの見方がずいぶん浸透していましたが、生殖医療の発達とともに、不妊の原因は男性側にもあることもわかってきました。
その割合も、2010年のWHOの発表では48%。これは男性のみに原因がある場合が24%で、夫婦両方に原因がある場合が24%あり、その合計のパーセンテージです。
一方、女性側の数値をみると、女性のみに原因がある場合が41%、これに夫婦両方の24%をプラスすると65%になります。その他、原因不明の不妊が11%となっています。
3つ目に、現代社会の生活習慣の変化があげられます。女性の社会進出、それに伴う睡眠不足や食生活の変化、ストレスや大気汚染なども危険因子の1つです。
卵子は本人が胎児のときに形成され、排卵する時期が来るまでの間体内環境の影響を受け続けています。したがって、生活習慣の乱れが不妊を引き起こすといっても過言ではありません。
コンビニ食や外食が増え、身体を作る食事の内容は確実に変わってきています。添加物や嗜好品を多くとる現代人の生活には、毎日の生活そのものがあらゆる不妊となる要素を含んでいます。ですので、不妊を予防するには食事や運動、性行為に至るまでのあらゆる生活を見直す必要があります。
不妊治療はどんなことをするのか?
病院で不妊原因がわかれば治療へと移行します。不妊治療にはさまざまな治療方法があるので、夫婦で相談して二人にあった治療法を選びましょう。
一般不妊治療
一般不妊治療とは、医学的なサポートはするけれど、卵を体の外に取り出すことはせずに、受精は自然に任せるもので、タイミング療法(指導)や人工授精などがあります。妊娠率は約15~30%です。
1、タイミング療法(指導)
妊検査をしても妊娠を妨げている要因がわからなかった場合、タイミング指導から治療を始めることがほとんどです。
タイミング指導とは卵胞の大きさやホルモンの分泌状態から排卵日を予測するもので、卵が上手く育っていない場合は排卵誘発剤を使うこともあります。治療期間の目安は6周期程度です。
2、人工授精
採取した精液を洗浄濃縮して、運動性のある元気な精子を排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入する方法です。
治療期間の目安は3~6周期です。これは人工授精で妊娠した大半が3周期以内という統計に基づいたものです。
3、腹腔鏡&FT(卵管鏡下卵管形成術)
卵管が左右両方とも詰まっている状態では自然妊娠は望めません。受精を体内で行なう一般不妊治療でも妊娠は不可能です。
となれば体外受精が適応になりますが、卵管の癒着を解消したうえで一般不妊治療を実施する選択肢もあります。
卵管の癒着をはがす方法として、腹腔鏡を使用しての施術、卵管鏡を内蔵したカテーテルを卵管に入れ詰まっている部分を広げるFT(卵管鏡下卵管形成術)などがあります。
生殖医療、体外受精・顕微授精
卵を体外に採り出して精子と受精させる治療を、高度生殖医療といいます。卵と精子が受精分割した胚も一定期間は体外で育てた後、子宮に戻します。
1、体外受精(媒精)
体外に取り出した卵に精子を振りかけて受精を促します。受精に成功した胚は一定期間、インキュベータで培養し、分割させた後、子宮内へ移植します。
2、顕微授精
体外に取り出した卵の細胞質内に、1匹の精子を直接注入する方法で、男性の精子が少ない場合や無精子症(精巣や精巣上体に精子がある場合)の場合に適応になります。体外受精と受精法は異なりますが、胚培養や胚移植の工程は同様です。
3、 AHA(アシステッドハッチング)
受精卵(胚)は透明帯で覆われていますが、子宮内膜に着床する際には透明帯から脱出して着床します。
ただし、なかにはこの透明帯が硬くなっていて破れにくく、着床が上手くできないことがあります。たとえば体外受精のように体外で胚を培養した場合や胚を凍結した場合、あるいは加齢によっても硬化すると指摘されています。
このような場合に透明帯を少し破ることで着床しやすいようにサポートするのが、AHA(アシステッドハッチング)です。
4、レスキューICSI
体外受精(媒精)で受精が上手くいかなかった場合、顕微授精を実施して受精を促す方法をレスキューICSIといいます。
採卵できても受精しないと移植はできないため、その周期は治療がキャンセルになってしまいますが、それを防ぐための一つの方法です。
5、IMSI
顕微授精で授精する際に使う顕微鏡よりも、さらに高倍率で精子を観察できるデジタルズーム装置を使って、より正常な精子を選別し、顕微授精をする方法です。
6、黄体管理
一般に着床時期を迎えると、子宮内膜は卵胞ホルモンであるエストロゲンや黄体ホルモンであるプロゲステロンの作用で次第に厚みを増し、着床しやすい環境に整っていきます。
もし、子宮環境が十分に整っていない場合には、黄体ホルモンを補充して着床しやすいようにサポートします。これを黄体管理といいます。
黄体ホルモンの補充法は、注射、服薬、膣坐薬、貼り薬など、さまざまな種類があり、1つだけでなく組み合わせて使うこともあります。体外受精などで採卵を行ない、排卵させなかった場合は黄体ホルモン自体がつくられないため、薬での投与は必須です。
一般不妊治療では妊娠ができないケース
一般不妊治療で妊娠が不可能もしくは難しいのは、体内での受精が不可能もしくは難しい場合です。
具体的な状態をあげると、両方の卵管が閉塞している、排卵した卵をキャッチする役目をする卵管采が卵子をピックアップできない、もしくは男性の精子が少ないなどが挙げられます。
また、女性の加齢などにより卵子の質が低下している場合も一般不妊治療では妊娠に結びつきにくいといわれています。
治療結果からわかること
不妊治療は治療自体が検査の役割も果たします。この治療法で妊娠しなかったという事実から、何が問題なのか、どこが上手くいっていないのかを予測することができ、次の治療に生かしていきます。
不妊治療のためのクリニックの種類と選び方
不妊治療はとても専門的でわかりにくいと感じられるかもしれません。しかし、そのような不安や疑問をたくさん抱えて治療にあたるのは、なかなか気が進みません。少しでも不安を軽くし、安心して治療できるように、病院選びのポイントについてお伝えします。
1、病院選びを始める前に
まずはご夫婦お二人の状況や考えをしっかり話し合い、不妊治療が必要かどうかを決めることが大切です。
夫婦の状況を確認
まずは、自分たち夫婦の状況確認からいきましょう。夫と妻はそれぞれ何歳なのか、結婚して何年、赤ちゃんが欲しいと思ってから何年経ちますか。それによって通院の必要があるか、また治療が必要かどうかを検討してみてください。
夫婦ともに20代から30代前半の場合
妊娠適齢期真っ只中なので、妊娠を妨げる原因がなければ避妊をしない性生活を送ることで80~90%近くが妊娠します。
半年で約半数、1年以内に80%、2年以内に90%とされています。ですから、この期間内であれば、まだ不妊治療は早いかもしれません。ただし、月経不順がある、月経痛がきつい、性行為中に痛みを感じるなどの症状がある場合には、一度、婦人科で検診を受けましょう。
妻の年齢が30代後半の場合
妊娠適齢期からは遠くはありませんが、女性の年齢は妊娠、出産に大いに関わってきます。これら卵の数が減少することと、卵子の質が低下することが原因です。
結婚から年数が浅く、また避妊を解禁してから年数が浅くても、1年を経過しても妊娠の兆しがないようなら、一度、検査を受けてみましょう。
妻の年齢が40代の場合
妊娠適齢期とはいい難い年齢です。妊娠については、大変個人差が大きく、問題なく妊娠・出産する方もいれば、やはり難しい方もいます。妊娠への希望がある場合、不妊治療をする、しないではなく、一度検査を受けてみるといいでしょう。
2、病院の種類と選び方のポイント
ご夫婦お二人にとって不妊治療が必要であると判断できたら、自分たちにとって適切な病院を選びましょう。
いくつかポイントがありますので参考にしてください。
ポイント1 婦人科か?不妊専門か?
妻の年齢が若く、避妊期間も短い場合には近所の婦人科へまず行ってみるというのもいいでしょう。
30代後半、40代の場合には、不妊原因が見つかった場合には、すぐに治療に入れるということから考えて不妊専門の方がおススメです。
また、近所の婦人科に産科もある場合には、妊婦さんや赤ちゃんも診察に訪れます。その姿を見るのが苦しいという思いがあれば不妊専門の病院、クリニックの方がストレスが少なくすみます。
ポイント2 大きな病院か?クリニックか?
大学病院や総合病院などでは、医師の数が多いので担当医制をとっているところでなければ、診察の度に医師が変わることになります。また、クリニックでも複数の医師がいる場合には同じようなことがあります。
担当医制の場合には、基本的には同じ医師が診療を担当します。ですので、同じ医師でなくても気にしないのであれば、複数名の医師のいる大学病院や総合病院、クリニックを選んでも良いです。
担当医が変わるとコミュニケーションをとるのが大変かもと心配であれば担当医制、または1人の医師が診ているクリニックをおすすめします。
ポイント3 通院のしやすさはどうか
不妊治療は、自分の都合で進められるとは限りません。卵胞の成長具合、ホルモンの状況などによっては、仕事やさまざまな用事よりも優先させなければならないことも出てきます。
その際、通院しやすさは重要なポイントになります。自宅と病院まで、または職場から病院までの交通機関は何か。時間はどれくらいかかるか。
マイカーを利用する場合には、駐車場の問題などもあります。それぞれの費用も合わせてチェックしておきましょう。
ポイント4 評判はどうか
まずは、本や雑誌、インターネットなどで良さそうだと感じた病院やクリニックのことを調べてみましょう。宣伝色の濃いところもありますが、その病院、クリニックの特徴がよくわかり、治療方針もよくわかります。
インターネット検索では、自分の気になるキーワードをいくつか重ねて検索してみるのもポイントです。ただ、治療成績については鵜呑みにはできません。病院、クリニックごとに算定方法に違いがありますので、参考程度に見るのが賢い方法です。
ポイント5 勉強会や講習会に行ってみよう
最近、多くの不妊治療を行うクリニックで勉強会や講習会を行なっています。妊娠や不妊のこと、不妊治療に関することをいろいろを説明してくれたり、個人的な質問に答えてくれたりしますので、気になるクリニックがあったら何件か出かけてみましょう。
その際、できるだけご夫婦で参加できるようスケジュールします。不妊治療は、赤ちゃんを授かるための治療、いわば夫婦の治療なので、お互いが同じ情報を共有すること、わかり合うことが大切です。治療は女性中心になりますが、病院選びはご夫婦で行う方が良いです。
ポイント6 とりあえず足を運んでみる
最終的には、担当医師と話をするのが一番です。不妊治療は、病気やケガの治療と違い、痛いとか痒いなどの症状ではなく、子どもが欲しいという願いのもとにある治療です。
医師との会話を通し、自分たち夫婦の身体を任せられるかを肌で感じるためには、直接話してみて判断するのが一番です。それで、「この先生なら!」と思えたなら通院し、「この先生はちょっと…」と思うのなら、他の先生を探しましょう。
大切なのは、悔いのない治療をすることです。
高齢出産に向けた身体の準備を
若い頃は「妊娠しないように」と気をつけることで頭がいっぱいになり、妊娠できることのありがたさを感じる人は少ないです。
ところが、いざ欲しいという時に限ってなかなかできないものです。今は仕事が楽しく自分のやりたいことで毎日が手一杯であっても、いつかは結婚して子供が欲しいという思いがあれば、まずは忙しい中でも生活習慣に気を配り、定期的な婦人科検診を受けておくなど、妊活に備えた身体の準備をしておきましょう。
なかなか妊娠できないと不安になるものですが、正しい知識を身につけ夫婦二人三脚で踏み出していきましょう。
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